バイエルを1年で終わらせた子の親がやった3つのコツ

「バイエルを1年で終わらせたいんです」。
体験レッスンや面談の場で、こんな言葉を耳にする機会は少なくありません。バイエルは本来、子どものペースや教室の方針にもよりますが、上下巻通して2〜3年かけて進めるケースも多く、「気づいたら何年もバイエルをやっている」というご家庭も珍しくありません。
[1][2]一方で、同じ教室の中にも「無理なく1年でバイエルを修了した子」もいます。才能の差や練習時間の差もゼロではありませんが、実は決定的に違うのは「親の関わり方」と「家庭での仕組みづくり」です。
[3][4]この記事では、実際にバイエルを1年で修了したケースに共通して見られる「親がやっていた3つのコツ」を、具体的なイメージとともに解説します。バイエルを早く終えること自体が目的ではありませんが、「脱バイエル」までの道のりをスムーズにし、子どもがピアノを嫌いにならずに次の教材へ進むためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
[5][6]1. 「毎日5分でも座る」を徹底する
バイエルを1年で終えたご家庭に共通しているのは、「特別な長時間練習」ではなく、「毎日とにかくピアノの前に座る」というリズムが徹底されていたことです。
[4][3]多くの親御さんは「30分は練習してほしい」と考えがちですが、習慣化の初期段階で大事なのは時間より「頻度」です。1日5分でも、極端に言えば1小節だけでもいいので、「毎日ピアノに触る」という動作を当たり前にしていくことが、結果的に上達スピードを押し上げます。
[7][3]例えば、あるご家庭では次のようなルールを決めていました。
夕食前に必ず1曲だけ弾く。
学校から帰ったらランドセルを置いて、まず1回だけピアノの椅子に座る。
時間がない日は「今日の課題の最初の4小節だけ」でもOKにする。
ポイントは、「短くてもいいから、とにかく毎日やる」を親子で共有することです。これにより、子どもにとってピアノは「やるかやらないかを毎日交渉するもの」ではなく、「歯みがきやお風呂と同じ、生活の一部」として定着していきます。
[8][3]2. 親が「練習のマネージャー」になる
バイエルを順調に進める子どもの家庭では、親が「練習しなさい」と言って見守る人ではなく、「今日何をどの順番でやるかを一緒に決めるマネージャー」の役割を担っているケースが多く見られます。
[3][4]小学校低学年くらいまでの子どもにとって、「自分で練習メニューを組み立てて、計画的に進める」ことはかなりハードルが高い作業です。そこで、バイエルを1年で終えた子の親は、次のような関わり方をしています。
レッスンノートや宿題のページを一緒に確認する。
「今日はこの曲を2回ずつ弾こう」「右手だけ3回、両手で3回やってみよう」と、具体的な回数を提案する。
難しいところに印やシールを貼って、「ここだけ部分練習しよう」と焦点を絞る。
親が「メニューを一緒に組む」だけで、子どもは迷わず練習に入ることができ、限られた時間でも質の高い反復が可能になります。
[4][3]また、「間違い探しのように細かくダメ出しをする」のではなく、「ここまで弾けるようになったね」「今のところ、音がすごくきれいにそろってたよ」と、できている部分を言葉にしてあげることも大切です。子どもは「頑張れば次の曲に進める」「褒められる」という体験を通じて、自然と次の練習へ向かうエネルギーを蓄えていきます。
[9][3]3. 「全部やる」より「賢く飛ばす」を受け入れる
教師側の工夫にもよりますが、バイエルを1年で終えたケースでは、「全曲を完璧に仕上げる」ことにこだわり過ぎず、「似たタイプの曲を賢く飛ばしながら進める」という考え方を親が理解していることも大きなポイントです。
[6][5]バイエルには、ほぼ同じパターンやリズムの曲が続く箇所があり、それらを1曲ずつ細かく仕上げるよりも、「代表的な1曲でしっかり理解し、他は必要に応じて飛ばす」という進め方の方が、総合的な上達にはプラスになる場合があります。
[5]例えば、ある先生はこのように説明しています。
「このタイプの伴奏形は、この曲でしっかり身につけよう」。
「こっちの曲もほとんど同じ形だから、先生の前でサッと通してみて、弾けたら合格にしよう」。
「この曲が弾けているなら、前の番号の曲は飛ばして大丈夫」。
こうした「ピックアップ方式」を取り入れると、子どもは「いつまでも同じような曲をやらされている」という退屈感から解放され、次の課題へ進む喜びを感じやすくなります。
[9][5]重要なのは、「飛ばす=手を抜く」ではなく、「必要な要素を押さえた上で効率よく進む」という発想を、親がポジティブに受け止めることです。先生が意図を説明してくれたら、「全部やらないと不安」という気持ちよりも、「このやり方なら子どもが挫折せずにゴールまで行けそう」という視点を大事にしてみてください。
[6][5]バイエルを1年で終えた子に共通する「親のスタンス」
ここまで紹介した3つのコツには、ある共通点があります。それは、親が「子どもに丸投げしない」一方で、「完璧を求めて追い詰めない」という絶妙なバランスを保っていることです。
[8][3]練習の時間とメニューは親が一緒に考える。
できたところを言葉にして認める。
先生と連携しながら、曲の「飛ばし」や進度の方針を共有する。
この3つがそろうと、子どもは「やらされている練習」ではなく、「自分も参加している挑戦」としてピアノに向き合えるようになります。結果として、バイエル修了までの道のりが短くなるだけでなく、次のブルグミュラーや他のテキストに進んだ後も、良いリズムのまま学びを続けていくことができます。
[2][1][3]バイエルを1年で終わらせることがゴールではありませんが、「だらだら何年も同じ本をやっているうちに、ピアノ自体がつまらなくなってしまう」ことは避けたいところです。もし今、「なかなか進まない」「練習が定着しない」と悩んでいるなら、時間の長さや曲数よりも、「毎日少しでも座る」「親がマネージャーになる」「賢く飛ばす」という3つの視点から、家庭での関わり方を見直してみてください。
[3][9]バイエル修了は、ピアノ人生のゴールではなくスタートラインです。親子で無理なく走り抜けられるペースと仕組みを整えながら、「次の一冊」へ気持ちよくバトンを渡していきましょう。
[1][2]