ピアノ嫌いになった我が子がまた弾きたくなった理由

ピアノ嫌いになった我が子がまた弾きたくなった理由

「もうピアノやりたくない!」。

子どもの口から出てきたその言葉に、保護者なら誰しも胸が締め付けられる思いをします。レッスン代や楽譜代、毎週の送迎…これだけの投資をしてきたのに、「嫌い」という一言で全てが水の泡になったような気持ちになる親御さんも多いでしょう。

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でも実は、ピアノを「一度嫌いになった子」が再び自らピアノに向かうケースは、決して珍しくありません。実際、ピアノ教室の先生方や、実際に経験した保護者の声を取材すると、「嫌い→再燃」のきっかけには、いくつかの共通パターンがあることがわかります。

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このコラムでは、「ピアノ嫌い」から「また弾きたい」に転じた子どもの事例を元に、その背景にある「本当の理由」と、「親ができる再点火のきっかけ」を、実例とともに紐解いていきます。「うちの子も、もうピアノは終わりなのかな…」と悩む保護者の方に、少しでも希望のヒントになれば幸いです。

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1. 「嫌い」の裏に隠れた本当の問題

子どもが「ピアノ嫌い」と言うとき、実は「ピアノそのもの」を嫌っているわけではないケースがほとんどです。よくある「嫌いの原因」を3つ挙げると、次のようになります。

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①「いつも同じ曲しか弾かない」→マンネリ化

同じ教材の同じ曲を、何週間も何ヶ月も繰り返すうちに、「いつまでこれをやるの?」という閉塞感が生まれます。特にバイエル後半やブルグミュラー前半あたりで、「次の曲が見えない」時期に陥りがちです。

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②「親の期待に応えられない」プレッシャー

「上手になってほしい」「発表会で弾いてほしい」という親の熱意が、子どもには「失敗できない」という重圧になります。「弾けたら褒めてあげる」スタンスではなく、「もっと上手く弾きなさい」という空気感が伝わると、自然とピアノから遠ざかります。

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③「レッスン=怒られる時間」になっている

先生の指導が厳し過ぎる、またはレッスン中に緊張して弾けず怒られてしまう、という悪循環。「今週も怒られるから行きたくない」という心理状態になっている場合も少なくありません。

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あるお母さんの体験談:「小3の娘が『ピアノ辞めたい』と言い出しました。理由を聞くと『いつも同じ曲で怒られるから嫌い』。確かに同じ29番を3ヶ月近くやっていて、私も気づきませんでした…」

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2. 「再び弾きたくなった」きっかけとは?

では、一度嫌いになった子が、再び自らピアノの前に座るようになったきっかけは何だったのでしょうか?実際の事例から見えてきた、4つのパターンを紹介します。

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①「好きな曲を自由に弾かせた」

「次はショパン弾きたい!」「あのCMの曲弾きたい!」という子どものリクエストを、難易度に関係なく一度受け入れてみる。先生によっては「1ヶ月の自由曲タイム」を設け、完全に別ジャンルの曲(J-POP、アニメ曲、映画音楽)を弾かせます。すると不思議と、「ピアノって楽しい」という原体験が蘇り、練習嫌いだった子も自発的に座るようになります。

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②「ピアノ以外の表現」を認めた

「弾くのが嫌なら、作曲してみない?」「メロディーだけでも作ってみようか」と、ピアノを「演奏する道具」から「創造する道具」にシフト。簡単なコード進行で即興を作らせたり、好きなリズムで叩かせたりすると、「弾く」以外の楽しみ方が見つかり、自然と鍵盤に戻ってきます。

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③「ピアノ仲間」との出会い

発表会やコンクールではなく、もっとカジュアルな「ピアノ友達との合同練習会」や「ピアノ部活動」に参加。「自分だけじゃない」「みんな同じように苦労している」という安心感と、「友達の前で弾いてみたい」という気持ちが、練習意欲を再燃させます。

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④「環境を変えた」(先生交代・教室移動・楽器更新)

「この先生とは合わない」「この教室の空気感が苦手」という場合、思い切って環境を変えるのも有効です。新しい先生、新しい仲間、新しいピアノ(電子ピアノでもOK)に触れることで、「ピアノ=あの辛い時間」という固定観念がリセットされます。

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3. 親がやってはいけない「逆効果行動」

「嫌い」と言われた保護者がついやってしまう、かえって子どもを遠ざけてしまう行動も少なくありません。

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「せっかくお金払ってるんだから!」とお金や労力をアピールする。

「他の子はちゃんとやってるよ」と比較する。

「しばらく休んでまたやろう」と強引に休ませる(本人の意思決定を奪う)。

「じゃあ辞めれば?」と投げやりになる(子どもの「迷い」を否定する)。

ある先生の指摘:「保護者の方が『辞めさせるぞ』と言うと、子どもは『本気で嫌なら辞めていいと言ってくれるはず』と試し行動に出ます。むしろ『辞めてもいいけど、本当にそれでいい?』という大人の余裕を見せると、本人は『やっぱり続けたい』と気づくことが多いです」

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4. 「嫌い→好き」に転じた子どものその後

一度「嫌い」から立ち直った子どものその後を追ってみると、興味深い共通点が見えてきます。

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「自分のペースで選んだ曲」を弾くようになった。

「発表会より、家族や友達に見せる」ことを楽しむようになった。

「上手さより、表現すること」に価値を見出すようになった。

結果として、技術も自然と向上し、次の教材もスムーズに進む。

ある小4男子:「ピアノ嫌いになった時、親に『じゃあドラムやってみない?』と言われました。でも自分で『やっぱりピアノもやりたい』と戻りました。今は好きな曲を弾くのが楽しくて、嫌いだった練習も『そのための準備』と思えるようになりました」

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最後に:嫌いも通過点、強制せず見守る

「ピアノ嫌い」は、決して終わりではありません。むしろ、「自分の音楽の好みを知る」「表現の幅を広げる」ための大切な通過点です。

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子どもが「嫌い」と言った時、大人ができる最善の対応は:

1. 理由を聞く(「ピアノそのものが嫌い?それとも今のやり方が嫌い?」)。

2. 一旦休むことを許可する(「1ヶ月お休みしてみようか」)。

3. 新しい楽しみ方(好きな曲・作曲・友達とのセッション)を提案する。

4. 子どもの「戻りたい」気持ちを尊重する(強引に休ませず、強引に続けさせず)。

ピアノは「やりたくない時に無理やりやるもの」ではありません。嫌いになったその先に、子どもが自分で選んだ「自分だけの音楽」があるはずです。その「再発見の瞬間」を信じて、焦らず見守ってあげてください。