自由に弾ける「尾瀬展望ピアノ」の音色は? 20年の眠りから覚めたピアノ


尾瀬国立公園のふもとにある群馬県片品村の廃校に眠っていたピアノが、20年の時を経てよみがえった。今月1日、地元の道の駅「尾瀬かたしな」に、誰もが自由に弾ける「ストリートピアノ」として設置された。「尾瀬展望ピアノ」と名付けられ、レトロな外装はそのままに往時の音色を奏でている。

このピアノは河合楽器製のアップライト型。水力発電の東京電力白根発電所(片品村)の建設を記念し、東電が1953年、1、2年生が通う近くの村立片品小東小川分校に寄贈した。少子化の影響で2000年に廃校になるまでの47年間、2年生の教室で延べ844人の子どもたちと過ごしてきた。

道の駅で昨秋、別のピアノで1カ月限定のストリートピアノを設置したのを機に、駅長の星野重雄さん(44)が常設のピアノを探していたところ、母校に眠るピアノのことを思い出した。昨年9月に現地を訪ねると、ピアノはほこりだらけで鍵盤の傷みも激しく、動物がかじった跡まであった。鍵盤のふたに刻まれた「東電寄贈」の文字に、星野さんは「村の歴史が詰まっている。時代がつないでくれたものだ」と運命を感じた。くしくも白根発電所は昨年6月から老朽化に伴う大規模改修が行われ、今年9月末に運転を再開した。時期を同じくして、ピアノも音が鳴るように補修し、復活を果たした。

寄贈から67年。「改めてピアノと発電所の結びつきを記念しよう」と、10月31日には白根発電所にピアノを移動させ、お披露目会が開かれた。かつて分校に通った住民ら100人が集まり、ピアノの伴奏で片品小校歌を斉唱した。ピアノを演奏した卒業生の鈴木真美さん(35)=埼玉県=は「このピアノを弾いたのは小学2年の時以来。当時と同じ、優しい音色がしました」とほほえんだ。

ピアノが置かれた展望テラスは尾瀬の山々や尾瀬大橋が望める。星野さんは「この地ならではの風景をバックに演奏を楽しんでほしい。ピアノがいい思い出作りに役立ってくれる」とPRしている。【道岡美波】

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